感染予防の邪魔をするイランの行き過ぎた「マッチョ信仰」
2020年3月7日(土)14時00分
イランの「マッチョ信仰」はおそらく今も健在であり、パンデミックへの危機感は深刻ではないだろう。私のみるところ、日本人も危機感は低い。自分は絶対に感染したくない、だけど対策をするのは「自分ではない誰か」。日本では圧倒的な当事者意識の欠如が、政治的な課題や世界で起きている出来事を全て対岸の火事にしている。
水際対策に一貫性はなく、国立感染症研究所の予算は削減。アメリカでは深刻なインフルエンザが猛威を振るう。環太平洋の国々は、中国と日本からの渡航者はハワイやグアムなどの非汚染エリアで潜伏期間を過ごしてからでないと入国できないといった規制を始めている。だが日本では、自分がウイルスに感染しなければ、どこか人ごとのように日々過ごしている。
イラン人の過度なマッチョ信仰も日本人の当事者意識の欠如も、感染症を防ぐ「大敵」だ。被害がこれ以上拡大すると、経済活動だけでなく人権にも悪影響が出かねない。そして日本に続いてイランでも死者が出た。今や世界はつながっている。決して人ごとではないのだ。
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン生まれ。2002年に留学のため来日。日本人女性と結婚し、2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran
<本誌2020年3月3日号掲載>
2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。
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