ロシア軍「衝撃の弱さ」と核使用の恐怖──戦略の練り直しを迫られるアメリカ

2022年3月3日(木)18時56分
ウィリアム・アーキン(ジャーナリスト、元米陸軍情報分析官)

新たな課題は実は古い課題であり、いま求められているのは封じ込め、国家を弱体化させる経済戦争、核軍縮協議だといえるだろう。だが一方、ロシアの視点に立てば、軍隊の弱さが露呈したことで、核保有が自国の真の強みだという認識が強まったはずだ。国家を維持する、少なくとも現在ロシアを支配している政治体制を維持するためには、核の威力がかつてなく重要な意味を持つ。

ロシアの欧州に対する軍事的脅威の観点から言えば、ロシア軍が恐れるに足りないことが分かって、バイデン政権は安堵しただろうが、気を緩めるわけにはいかない。国家安全保障戦略の練り直しが急務だ。ロシアをアメリカと対等な軍事大国と見なさず、なおかつプーチンを追い詰めたらどうなるかを想定した現実的かつ冷徹な戦略が求められている。

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