【ウクライナ侵攻軍事シナリオ】ロシア軍の破壊的ミサイルがキエフ上空も圧倒し、西側は手も足も出ない

2022年1月21日(金)17時56分
ジャック・デッチ(フォーリン・ポリシー誌記者・米国防総省担当)

ロシア軍の進化の影響は、ウクライナのさらに先にまで及んでいる。ロシアは、バルト海に接するロシアの飛び地であるカリーニングラードに、イスカンデルを配備してきた。NATOへの対抗や、米軍による東欧への配備強化を抑止することが目的とみられている

だが米国防総省や軍事専門家たちが懸念しているのは、イスカンデルのようなシステムの精度や破壊力だけではない。ロシアによる高精度ミサイルや長距離ミサイルの配備は、憂慮すべき傾向の中で浮上した、新たな兆候の一つなのだ。

2020年にアメリカがイランのガセム・ソレイマニ司令官を殺害した後、イラク駐留の米軍部隊に対してイランが弾道ミサイルで報復攻撃を行った例などは、アメリカやその同盟諸国がもはや、空の戦いにおいて優位に立っている訳ではないことを示している。

戦略国際問題研究所でミサイル防衛プロジェクトの責任者を務めるトーマス・カラコは、「我々は2014年にロシアがクリミアを併合するのを見て『これまでとは違う何かをしなければ』と気づいて以降、このような状況に向けた備えを進めてきた」と語る。「アメリカは空の戦いでの優位性が、我々の当然の権利ではないことに気づきつつある」

From Foreign Policy Magazine

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