カード不要で楽々のはずが、モスクワ地下鉄の「顔認証」サービスが大不評

2021年10月1日(金)18時26分
ヤナ・パシャエバ

顔認証は反政府派の摘発にも使われる。19年の夏、無許可の反政府集会に参加したセルゲイ・アバニチェフは監視カメラで顔が割れ、事後に逮捕された。そして今年の1月末、反政府派の大規模デモが予定されていた日に、今度は地下鉄構内で警察に身柄を拘束された。監視カメラが彼を「危険人物」と認定したからだ。彼にデモ参加の意図はなかったが、釈放されるまでに8時間もかかったという。

19年には女性活動家が市当局を相手取って訴訟を起こし、本人の許可なく生体情報を収集するのは違法だと訴えた。しかし法廷は訴えを却下し、街角に設置されたカメラが「監視するのは公共の場所であって、人民ではない」と断じた。でも改札口のカメラは、今度こそ人民の顔に向けられている。ご用心。

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