世界一白い塗料がギネス認定 98%の太陽光を反射、冷却効果は「エアコンより強力」
<白さのギネス記録を更新。赤外線を多く放出し、塗装面を冷却する>
アメリカの研究により、史上最も白い塗料が開発された。太陽光を98.1%反射する特性をもち、「最も白い塗料」としてギネス世界記録に認定された。9月16日発売の2022年版『ギネス世界記録』に掲載されている。
塗料は米中西部・インディアナ州のパデュー大学で機械工学を研究する、シューリン・ルアン教授らのチームが開発した。大学院生たちとの共同研究で実現に結びつけた。
単に白さが美しいだけでなく、太陽熱の大部分を反射することから環境対策として実用性が期待される。同大によるリリースのなかでルアン教授は、「我々が7年ほど前にこのプロジェクトに着手した際、省エネルギーと気候変動への対応を意識していました」と振り返る。
これまでの最も白い塗料の世界記録は、昨年10月に同チームが実現した反射率95.5%であった。吸収率の比較では4.5%から1.9%に低減し、2倍以上の性能に改善した。
白さが生む、エアコン並みの冷却力
今回開発された塗料は非常に白いため、塗装した面を冷やす効果をもつ。色が温度に影響を与えることは、夏場に違った色のシャツを着て出歩くことを考えるとわかりやすい。黒いシャツは熱を吸収しやすく、暑さがこもりやすい。反対に白いシャツは太陽光を反射するため、比較的涼しく過ごすことができる。
従来の市販塗料であれば、熱の遮断効果を謳うものでも80〜90%の反射率に留まり、周囲より温度を低く保つ効果は発揮しづらかった。今回開発された塗料は98.1%の太陽光を遮断し、さらに塗装面から赤外線を放出する。実験によると塗装面の温度は、夜間の屋外で周囲よりも約10.6℃、昼間の屋外で約4.4℃低くなる。
本塗料を1000平方フィート(およそ93平米、あるいは9.7メートル四方)の屋根に塗布した場合、約10キロワット相当の冷却効果が得られる。研究チームは、「これは多くの家庭で使われているセントラル空調方式のエアコンよりも強力です」と説明している。セントラル空調とは、大型の室外機を屋外1箇所に設置し、ダクトを通じて各部屋に冷気を送出する方式を指す。実質的に1家庭分の冷却能力をまかなえるとの説明だ。
米USAトゥデイ紙もチームの見解を引用し、「非常に白いために、ゆくゆくはエアコンの必要性を低減あるいは排除することさえできる可能性のある塗料」だと伝えている。
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