ヒトに脳炎起こす、20センチの巨大カタツムリ 10年越しに根絶 米
また、夜行性であり、日中の目撃情報に乏しいことも駆除の障害となってきた。通常のカタツムリは低木の上などで生活するが、アフリカマイマイは主に地上で草葉に隠れて行動する。天然の森林だけでなく、手入れされた庭から野外に放置されたガラクタの山まであらゆるところに棲みついており、徹底した発見と駆除が難しい。
暑さと乾燥に対しても強い耐性があり、少々気温が高いくらいでは個体数を減らすことがない。土を掘って身を隠し、涼しく湿った環境で高温をやり過ごすことができるためだ。フロリダが雨季に入る6月以降は、土のなかからぞろぞろと一斉に湧き出てくる光景がみられる。
探知犬が活躍
手強いアフリカマイマイとの闘いにあたり、当局は強力な味方として2頭のラブラドール・レトリバーの力を借りた。カシーとメロンと名づけられた2頭は、探知犬として半年に渡る訓練を積み、アフリカマイマイ固有の匂いを嗅ぎ分けられるようになった。その精度は、地中に潜む個体も発見できるほどだ。匂いを検知するとその場に座り込んで人間に知らせ、ご褒美のおやつを受け取る。
また、住民たちの根気強い対応も欠かせなかった。各家庭の庭にいるアフリカマイマイを発見次第、住民たちは手作業で取り除く。こうして捕獲された個体の数は、この10年間でおよそ17万匹を数える。
駆除プログラムには10年間で2400万ドル(約27億円)という巨額が投じられた。州当局は目撃データを集計し、発生地域に集中的にリソースを投入する戦略で成果につなげたという。アフリカマイマイの駆除は極めて困難であり、これまで根絶に成功した地域は世界でもフロリダ州のみとなっている。
以前はハワイ土産から大繁殖
フロリダは数十年前にもアフリカマイマイを根絶しており、今回の成功は2度目となる。以前の大繁殖については、ハワイ土産が発端となったことがわかっている。1966年にハワイから戻った幼い子供が、南フロリダにある祖母に3匹を土産として贈った。祖母が裏庭に放したところ急速に殖え、1975年には州内で数千匹が駆除される事態となる。
2011年から始まった今回の拡大については、はっきりとしたきっかけがわかっていない。マイアミ・ヘラルド紙は、2010年にナイジェリアから数十匹が密輸され、カルト団体がその粘液を治癒の儀式に使っていたと報じている。一方、これとは関係なく貨物などに紛れて到来したとする見解もあるようだ。
アフリカマイマイは世界的に問題のある外来種となっており、前述のように日本の南部にも分布する。また、この種に限らず、一部のカタツムリやナメクジなどは寄生虫の中間宿主となり得る。生き物と触れ合いたくなる気持ちは自然なものだが、安全上、極力素手で触らないように気をつけたい。
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