債務上限引き上げなければアメリカは「破産」する──イエレン財務長官
<アメリカは8月以降新規の借り入れができない状態にあり、10月18日までに債務上限が引き上げられなければ手元の資金を使い果たす公算が大きいという>
ジャネット・イエレン米財務長官は9月28日、10月18日までに連邦政府の債務上限が引き上げられなければ米政府は手元資金をやりくりする手段を失い、アメリカはデフォルト(債務不履行)に陥り、金利上昇と景気後退の引き金を引きかねないと警告した。
アメリカが債務不履行に陥った場合の状況についてイエレンは、「アメリカ合衆国に対する全幅の信頼と信用が損なわれ、金融危機や景気後退に直面する可能性が高い」と述べた。
景気後退に加えて、債務上限の引き上げの失敗も金利上昇圧力になり、アメリカ人の利支払いや、政府の国債の利払いに影響を与えるとイエレンは付け加えた。
一般のアメリカ人にとっては、「住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードなどの利払いが増えるだろう」と、イエレンは言う。
以下はAP通信の報道だ。
イエレンはこの日、連邦上院銀行委員会の公聴会で証言を行った。この公聴会は、約1年半前に始まった新型コロナウイルスのパンデミックがアメリカ経済をまひ状態に追い込んだことを受けて連邦政府が実施した巨額の財政支援について、議会がその影響に関する最新情報を得るために開催された。
米国債の格付け下がる?
同じく公聴会で証言した米連邦準備理事会(FRB)議長のジェローム・パウエルも、債務上限の引き上げは「不可欠」であり、引き上げがかなわなかった場合の影響は「非常に厳しいものになるおそれがある」と警告した。
債務上限とは、連邦政府が借りられる金額に一定の制限を設けるもので、議会が債務を上回る額の支出を承認したのちには、必ず引き上げられなければならない。この上限は、1960年以降80回近く、引き上げないし一時停止されてきた。トランプ政権時代にも3回停止された実績がある。
公聴会とは別に、イエレンは9月28日、議会指導者たち宛に書簡を送付。債務上限の引き上げに関する議会内の攻防が長引けば、経済が危険にさらされるという見方を重ねて表明した。
「(上限の引き上げを)ギリギリまで引き延ばせば、事業者および消費者の信頼感に深刻な打撃を与え、納税者の借入コストを上昇させ、今後何年にもわたり、アメリカ合衆国の信用格付けにマイナスの影響を与えるおそれがある」
債務上限の引き上げに反対する上院財政委員会の共和党メンバーは、上下院で多数を占める民主党は単独で上限を引き上げかねないと非難を強める。
「民主党は、課税や支出、さらにはアメリカをヨーロッパ化するような規制の導入を企んでおり、共和党の歯止めが必要だ」と、共和党所属でルイジアナ州選出の上院議員ジョン・ケネディは主張した。
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