【9.11】20年目の「新事実」テロ実行犯の2人は愛し合っていた

2021年9月14日(火)08時10分
ウィリアム・アーキン(ジャーナリスト、元米陸軍情報分析官)

粉塵舞い上がる現場で消防士は必死の救出活動を続けた U.S. NAVY-REUTERS

モハメドは何度も、2人の関係が異常に親密で「変だった」と言い、男性同性愛者に対する蔑称も何度か使い、命令に背いたのはそのせいだろうと供述している。

10年以上にわたる取材の過程で、筆者はFBIやCIAの情報源に何度も、ツインタワー南棟はアルカイダの標的ではなかったのではないかという質問をぶつけた。

最初はみんな、何をバカなという顔をしたが、改めて資料を読み直すと、顔色が変わった。

パイロット役を含む実行犯全ての米国内での動きについて、FBIは徹底的に調べ上げていた。

いつどこに、誰と一緒にいて、何を食べたか。クレジットカードなどの使用履歴、電話やEメールの記録もだ。

そのデータベースに筆者も目を通した。アタとアルシェヒは米国内で暮らした1年3カ月、ほとんど全てを一緒にやっていた。

一緒に操縦訓練を受け、一緒に食事し、一緒に買い物をし、一つ屋根の下に暮らし、ホテルでも同室に滞在していた。

離れているときは、いつも電話で頻繁に連絡を取っていた。犯行当日の早朝にも、アルシェヒはボストン空港の別のターミナルにいるアタに、2度も電話していた。

ドイツのベルリンにいて、アフガニスタンにいるアルカイダ指導部とアタの連絡を仲介していたラムジ・ビナルシブ(今もグアンタナモに収容中)も、あの2人はずっと一緒に住んでいたから恋人同士だったかもしれないと供述している。

ドイツのハンブルク時代には、ビナルシブも2人と同じ部屋に住んでいたという。アルシェヒはアタより10歳若いが重い病気を患っており、アタはいつも気遣っていたらしい。

筆者は実行犯たちの親族にも話を聞いた。みんな、あの日のことは忘れたがっていた。名前を変え、ひっそり生きている人もいた。

それでも取材に応じてくれた人の話は、アタとアルシェヒの関係が特別だったという点でほぼ一致していた。

アタの親族も彼が悩んでいたことを認め、あの2人が何か信仰に背くような関係にあったことをほのめかした。だから、あんな死に方を選んだのだろうと。

あのテロリストたちは「不良」タイプのイスラム教徒だったという解釈は、アメリカでは広く流布されている。

アメリカに潜伏中はポルノ三昧で、酒も飲み、娼婦も買う邪悪な偽善者タイプだったと。

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