米軍のバグラム空軍基地放棄がテロを世界に拡散させる

2021年8月30日(月)11時41分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

こうしてタリバンが圧倒的勝利を収めるのだが、囚人の中にいたISIS-Kが何人くらい、そしてどのようにして社会に放たれてしまったかに関して、8月27日におけるアメリカ国防総省(ペンタゴン)のプレス・ブリーフィングでは以下のように説明されている。なお、ISIS-Kはシリアとイラクで台頭したテロ組織ISISの分派で、「K」はアフガニスタンやパキスタンなどの地域をさす「Khprasan(ホラサン)」の名称に由来する。

記者とペンタゴンのカービー報道官との間の問答だ。

記者:バグラムに残されたISIS-Kの囚人のうち、何人がバグラムの刑務所から解き放たれたと考えられますか?また、アメリカが撤退する前に、なぜ彼らをGitmoのような場所に移送しなかったのでしょうか?(筆者注:Gitmoとはキューバのグアンタナモ湾にあるグアンタナモ米軍基地にある共同機動部隊運営の収容キャンプで、主としてテロ犯罪者を収容する。)

カービー報道官:えー、そうですね...正確な数はわかりません。まあ、数千人単位であることは明らかでしょうね...二つの刑務所を考えればですね......だって、二つともタリバンに占領されて空になってしまったわけですからね......しかし私は...正確な数字は言えません。空っぽになってしまったということに関してですが、まあ、覚えておいてほしいのですが...、つまり、私たちはアフガン国家安全保障部隊に業務を引き渡していたのですよ。これは撤退プロセスの一つですから、アフガン政府は刑務所と、その刑務所がある基地に責任を持っていました。もちろん、タリバンが前進するにつれて...いくつかの領土や基地を保持するためのアフガン政府軍の抵抗は見られなくなりました。しかし、これらは、4月に決まった撤退計画に従って行われたもので、全ての責任は既にアフガニスタン政府に引き渡されていたのですよ(筆者注:すべてバイデンが4月に決めたロードマップ通りにやったので、我々に責任はなく、撤退計画を決めたバイデンとアフガン政府に責任があると言っているに等しい)。

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