タリバンとは何者か、なぜ恐れられるのか

2021年8月20日(金)18時43分
スー・キム

当時のアフガニスタンでは、女性が仕事をしたり、教育や医療を受けたりする権利が大幅に制限された。移動や服装についても制限があり、全身と顔を覆う「ブルカ」を着用しなければならなかった。外出する際は男性の親族が付き添わなければならず、違反すればタリバンから暴力を振るわれるおそれがあった。

2001年の報告書は、「タリバン政権下で女性は尊厳を奪われ、家族を支えることができない立場に置かれた。少女たちは基本的な医療も受けられず、一切の学校教育を受けられなかった。歌や人形、ぬいぐるみも全てタリバンによって禁止され、子ども時代さえも奪われた」と指摘した。「タリバンは女性に対して、レイプや拉致、結婚の強制などのひどい暴力を行った。娘を守るために、パキスタンやイランに送った家族もいた」

手を切断する刑罰は廃止しない?

タリバンの新政権が以前とどう違うのかはまだはっきりしない。AP通信は、新たなタリバン政権の下、女性は働くことを奨励した、と報道した。8月16日にタリバン幹部がアフガニスタンのテレビ番組に出演し、女性キャスターからインタビューを受けた中で語った。また少女たちは学校に戻ることが許され、学校の入り口ではイスラム教のヘッドスカーフが配られた。

またAP通信によれば、タリバンのムジャヒド報道官は17日の記者会見で、「イスラム法の範囲内で」女性の権利を尊重すると約束した。だが90年代後半のタリバン政権下で導入されていた、犯罪者の手を切断する刑罰については、廃止を明言しなかった。

ムジャヒドは会見の中で、タリバンはアフガニスタン軍の元兵士や諸外国の軍に協力した請負業者や通訳に対して恩赦を与えると言明。ロイター通信によれば、タリバンは元兵士や政府関係者に対する報復はしないと述べた。

それでもカブールには、不安が根強い。AP通信は8月18日に、武装した男たちがカブールの民家を一件一件まわって、追放された前政府や治安部隊で働いていた者を探しているという住民の声を報じた。だがこの武装した男たちがタリバンなのか、タリバンになりすました犯罪者なのかは分かっていない。

ムジャヒドは、タリバンが首都に侵攻したのは、警察がいなくなった後の法と秩序を回復させるためだったと主張。カブールの治安が崩壊した責任は、前政府にあると非難した。

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