「メダル1位はアメリカ!?」中国で非難続出
五輪のメダル数の「数え方」をめぐる議論は、今に始まったことではない。この問題についてIOCの公式なポリシーはないが、アメリカを除く世界のほぼ全ての国・地域では「金メダル獲得数を優先」する方式が採用されている。
獲得総数を優先するアメリカの数え方には長い歴史があり、2008年の北京オリンピック以前からこの方式が使われているが、問題視されるようになったのはその北京大会からだった。
北京大会で、中国は金メダル48個を含む計100個のメダルを獲得。アメリカは金メダル36個を含む計112個のメダルを獲得した。
開催国の中国と世界の他の国々が「中国がトップ」と認める一方で、米メディアがメダル獲得数表でアメリカを1位にしたことが物議を醸し、「アメリカはオリンピックのメダル獲得数での敗北を認めようとしない」「アメリカがメダル獲得数表を印象操作」などと報じられた。
とはいえ、メダルの獲得総数を優先しているのは、実はアメリカだけではない。
ロシアもこの数え方を好んでおり、2004年のアテネ大会では、メダル獲得数表で自国を中国よりも上の2位と報じた(金メダル獲得数では中国が2位、ロシアが3位)。
ロシア・オリンピック委員会の広報担当者が2008年に、獲得総数ではなく金メダルの数で国別のランキングを決める方法は「愚かな考え」だと発言したこともある。
ただし、現在はロシアの複数のメディアが金メダル獲得数を優先する数え方を採用しており、東京大会でのロシア選手たちのランキングを6位としている(獲得総数では3位となるのだが......)。
アスリートにとっても、メダルの色の違いは大きい
数え方そのものより現実的な懸念は、金銭的な問題だ。多くの国は、オリンピックで金メダルを獲得できる見込みのあるスポーツに、優先的に資金拠出を行っている。
東京大会での「勝者」が誰なのかについて、中国とアメリカの見解は異なるかもしれない。ただいずれにしても、真の「敗者」は、メダル獲得の見込みが「金」ではなく銀や銅の場合に金銭的な支援を得られないかもしれない、ほかの国々のアスリートだろう。
個々のアスリートにとっても、メダルの色の違いは大きいのだ。
中国はこれまでに東京オリンピックで金メダル32個、銀メダル23個と銅メダル16個を獲得している。金メダルの獲得数は、自国開催だった2008年の北京大会を除けば最多となるかもしれない。