中東の「暴発」と貿易網の「破壊」を招きかねない大国同士の対立激化

2021年5月12日(水)19時01分
トム・オコナー

<昨年末からイスラエルへの挑発を強めるイランだが、両国の政治の変化がさらなる危機をもたらす可能性も高まっている>

イランとイスラエルの間で緊張が高まっている。双方が攻撃の応酬を続けつつ、攻撃者不明の場合も互いを批判。5月5日にはイラン革命防衛隊のサラミ司令官が、昨年末からの数カ月間にイスラエルが受けた10の攻撃を挙げ、イスラエルの貿易の90%を占める海上交通を破壊することは簡単だとして、11件目の攻撃の可能性を示唆した。

イランによる挑発の背景には、同国とアメリカの核合意交渉が行き詰まりを見せていることがある。またイランでは8月のロウハニ大統領の退任を前に6月に大統領選が予定されており、間もなく発表される候補者リストには欧米との外交に懐疑的な保守派が多く含まれるとみられている。

一方のイスラエルでは、ネタニヤフ首相が3月の総選挙の結果を受けて連立政権の樹立に乗り出したものの失敗。イスラエル史上、最も長く首相を務めたネタニヤフの退任がささやかれ始めた。

2国の国内情勢が、中東に不穏な影を落とし始めている。

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