進む自衛隊とミャンマー国軍の将官級交流 クーデター首謀者も3度来日、安倍首相と会談
<ミャンマー国軍に「パイプがある」とされる日本政府や自衛隊との交流はいかにして始まったのか、そしてその目的は何だったのか>
軍事クーデターから3カ月が過ぎたミャンマーでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の暴力停止の呼びかけ後も国軍の市民の民主化運動への弾圧は収まらず、死者は4月末時点で750人を超えている。欧米諸国は国軍トップらへの制裁を強化しているが、日本政府はいまだに明確な姿勢を示していない。そんな中、在日ミャンマー人らは、4月14日に日本ミャンマー協会、4月22日には日本財団の前で抗議デモを行った。彼らがこれらの団体に怒りをぶつける背景には何があるのか。まず1枚の写真に注目したい。
ミャンマー国軍や日本の防衛省関係者と思われる15人の人物が横二列に整列した記念写真で、写真の上には、「日緬将官級交流プログラム」と書かれている。主催は日本財団で、日付は2019年8月23日。前列左には日本財団の笹川陽平会長、前列右から3番目には日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長が写っている。日緬将官級交流プログラムとは何か。その謎を紐解くには、時計の針を8年前に戻す必要がある。
海自練習艦の戦後初のヤンゴン寄港から将官級交流へ
2013年9月30日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンの港に3隻の艦艇が到着し、港は出迎える市民の歓声に包まれた。海上自衛隊の練習艦「かしま」、「しらゆき」、護衛艦の「いそゆき」が、遠洋海洋航海の途中にヤンゴン港に寄港したのだ。海上自衛隊の練習艦がミャンマーに来るのは戦後初めてで、このイベントは現地のメディアでも取り上げられた。
これを機に、日本の防衛当局とミャンマー国軍は急速に関係を深めていく。同年12月には来日したテインセイン大統領と安倍首相が会談し、今後も両国間の軍事協力・交流を促進することで一致した。2014年5月には当時の岩崎茂統合幕僚長がミンアウンライン国軍総司令官からの招待でミャンマーを訪問。今後の自衛隊とミャンマー国軍との交流等について議論し、ミンアウンライン司令官の訪日を打診した。その後、関係者の入念な下準備と根回しにより、同年9月に同司令官の訪日が実現する。この時、当時官房長官であった菅現首相が会談しており、日本ミャンマー協会の渡邊秀央会長、日本財団の笹川陽平会長も同席している。こうして、日本とミャンマーの軍事交流は始まったのである。
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