アフガンの戦場から米兵が去った後、殺人マシンによる「永続戦争」が残る

2021年4月20日(火)18時58分
ウィリアム・アーキン(ジャーナリスト、元陸軍情報分析官)

「責任ある終結」の実態

監査も成功を測る基準もないため、バイデン政権は、ある程度安定したからアフガニスタン戦争は終わりに近づいたと主張できる。情報筋が一貫して、アメリカの撤退後は最悪の事態になると予測しているにもかかわらずだ。

今年3月にカブールを訪問したロイド・オースティン国防長官は、戦争には「責任ある終結」が必要だとだけ語った。「責任ある」という言葉の主な意味は、手続きが整うということだ。つまり政府内の合意が成立し、議会は抵抗を封じられ、安全保障のプロは沈黙させられ、アフガニスタン政府がしぶしぶながらも(実質的に買収されて)同意し、アメリカの同盟国が同調することを意味する。

そして「責任」とは、駐留米軍を撤退させ、アメリカ人の死傷者がこれ以上出ないようにすることを意味し、撤退の映像が勝ち誇ったものになるよう仕組むことだ。

この「責任ある」という言い方は、オースティンがイラク駐留米軍司令官を務めていた2011年に、現地での戦闘が終わったとして部隊の撤退を遂行したときとほぼ同じだ。それがアフガニスタンでも再現される。アメリカの兵士と国家の背負い込むリスクを最小限にとどめるために。

永続戦争は私たちが交わした悪魔との契約だ。9.11以後のアメリカは手段を選ばず地の果てまでもテロリストを追い掛け、圧倒的な軍事力で血みどろの戦いを制し、さっさと凱旋するはずだった。

しかしアメリカの軍隊には独自の文化がある。技術と共に進化し、リスク回避と精密さを追求する文化だ。そのせいで私たちは、とどまることを知らない殺人のベルトコンベヤーに乗せられている。永続戦争に終わりはない。戦争マシンは世界中に拡散しているため、どこかの国で戦闘を終わらせるとか、何かの作戦を中止するとかの方針を示したくらいでは止まらない。

つまるところ、本気で永続戦争を止めたいなら、必要なのは心理面の変化だ。地上で起きている現実を身体的に理解し、そこで私たちが何をしているのか冷静に見つめることが求められている。

(本稿は筆者の新著『The Generals Have No Clothes』の一部をアップデートして抜粋したもの)

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