アメリカの新型コロナ死亡者の40%は「トランプのせい」と報告書

2021年2月12日(金)16時00分
ジェイソン・レモン

報告書はさらに、「トランプは、中・低所得層の白人の生活の見通しが悪化することに対する怒りを利用して、人種間の憎悪や外国人嫌悪を煽り、高所得層や企業に恩恵をもたらす政策、人々の健康を脅かす政策への支持を取り付けた。立法面でのトランプの代表的な功績は、企業と高所得層を対象とした1兆ドルの減税だ。そしてこの減税によって予算に開いた穴を埋めるために、低所得者向けの食料補助や医療予算の削減を正当化した」と指摘する。

報告書の著者はランセット委員会のメンバーで、著名な医師、研究者が名を連ねている。このうちニューヨーク市立大学教授(公衆衛生)で医師のステファニー・ウールハンドラーは本誌に対して、ジョー・バイデン新大統領はトランプが導入した最悪の政策の一部に「迅速に対処」しているが、さらなる努力が必要だと指摘した。

防げるはずの格差

ウールハンドラーはさらに、「アメリカの医療の後れを取り戻すには、もっと大規模な改革が必要だ。たとえば国民皆保険(メディケア・フォー・オール)の導入、資産や労働の機会を奪われたアメリカ先住民や黒人への補償、良好な健康状態を保つために重要な栄養、住宅、教育プログラムへの国の支援などだ」と指摘した。「国防費を減らし、富裕層への増税を行うことで財源を確保し、これらの社会のニーズにもっと予算を割くべきだ」

委員会のメンバーで、ハーバード大学衛生・人権センターのメアリー・バセット所長は、報告書は「過去4年間で医療分野における人種的格差が拡大したこと、とりわけ新型コロナが黒人、ラテンアメリカ系と先住民により悲惨な犠牲を強いていることを指摘した」と声明で述べた。

バセットはさらに、「パンデミックに対する破壊的で的外れの対応は、長年放置されてきた人種的不平等の問題を浮き彫りにした。このような防げるはずの格差を『撲滅できない』と言い逃れるのは、もうやめなければならない」と強く求めた。

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