コロナ禍の米国、慈善団体への寄付が異例の水準に
デトロイト大都市圏では、救貧事業を行う非営利団体(NPO)フォーガットゥン・ハーベストによる毎週の食糧配給日になると、同NPOと提携する食糧倉庫の前には夜明け前から数百台の車が行列を作る。デトロイトでは今年、配給を受ける人が50%増加した。
新型コロナウイルスによるパンデミックでオフィスその他の事業所が閉鎖されたことで、食糧配給への需要は増大した。だが、需要への対応も強化されている。
フォーガットゥン・ハーベストに対する寄付金額は昨年を上回るペースで、これまでより広い倉庫スペースや、パンデミック下でも食糧を安全に配布するために必要な新たな移動配給拠点を整える財源となっている。
「このパンデミックで唯一良かったことは、人々がこれまでより少しだけ隣人たちを思いやるようになったことだ」と語るのは、ミシガン州で最大規模のフードバンクの1つ、フォーガットゥン・ハーベストでマーケティング担当ディレクターを務めるクリストファー・アイビー氏。
パンデミックによる経済危機は、米国における「持てる者」「持たざる者」の格差を新たな形で拡大した。在宅勤務が可能な人は高所得の職種に多く、問題なく暮らしている。
だが、2000万人を超える米国民は失業給付に頼っており、飢えと貧困は拡大しつつある。
格差が拡大する一方で、各地のフードバンクやクラウドファンディングによるキャンペーン、その他生計に苦しむ同胞に対する支援は急増しつつある。
恐らく最も金額が大きいのは、今月初めに発表されたアマゾンの株主であるマッケンジー・スコット氏が慈善団体に40億ドル(約4150億円)を寄付した件である。だが他にも、10ドル、20ドルと額は少なくとも寄付を行う米国民は多い。寄付するのはこれが初めてという人もいる。
今年はパンデミックにより啓発・寄付促進のイベントやコンサートを行えず、苦労しているNPOも多い。だが、2500近い団体を調査しているファンドレイジング・プロフェッショナル協会による最近の分析では、2020年1─9月、一部の中小規模の慈善団体では前年同期比で7.6%も寄付が増えているという。寄付者の数は11.7%増加している。
暫定データを見る限り、例年米国で最も慈善活動が活発に行われる12月になっても、この傾向は続いているようだ。「ギビング・チューズデー(施しの火曜日)」と呼ばれる感謝祭後の火曜日に当たる12月1日、慈善団体が受け取った寄付金は前年比25増の24億7000万ドルに達した。
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