たとえバイデンが勝っても「トランプのアメリカ」は続く

2020年11月5日(木)16時55分
ジョナサン・テッパーマン(フォーリン・ポリシー誌編集長)

バイデンがコロナ禍で困窮した企業の救済など目玉政策の予算案を通せなければ、市場は混乱し、金融不安が広がるだろう。政府のあらゆる部門が一丸となって有効な政策を実施しなければ、コロナ禍がさらに悪化するのは目に見えている。

つまりホワイトハウスの主が誰になっても、「トランプのアメリカ」は続き、この国の機能不全は解消されないということだ。今回の大統領選は有権者がトランプ政治にはっきりとノーを突きつける最後のチャンスだったが、そのチャンスは生かされなかった。

自分たちを救うことに失敗した民主党政権への人々の怒り、あるいは外出規制で感染拡大を防ぎ、人々を救うために経済を停滞させる新しい民主党政権への共和党の怒りが、既に深まっているこの国の分断をさらに広げ、超党派の協力の望みをさらに砕き、場合によっては暴動すら招きかねない。

対立と分断を和解へと導き、アメリカを1つにまとめる政治を行う──そんなバイデンの構想は、今では見果てぬ夢と映る。オバマも同じことを目指したが、それによって共和党はさらに頑なになり、「オバマはインドネシア生まれのイスラム教徒だ」などという作り話がばら撒かれ、荒唐無稽な陰謀説を信じるアメリカ人が増え、その動きがQアノンの誕生にもつながった。

トランプの醜悪なアプローチがアメリカの有権者の半数近くの支持を勝ち得た今、バイデンが大統領になったところで、違いが分かるほど事態を改善できるとはとても思えない。トランプが再選されれば、改善どころか、悪化の一途をたどるのが関の山だ。

From Foreign Policy Magazine

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