新型コロナ感染、トランプはボリス・ジョンソン(重症)化するのか

2020年10月5日(月)18時00分
ローリー・ギャレット(米外交問題評議会グローバルヘルス担当シニアフェロー)

証拠はまだある。2019年11月、匿名のホワイトハウス職員が『ある警告』という本を出版した。そこにはこう書かれている。「私は大統領の精神状態を診断する資格がない。私が言えるのは、ドナルド・トランプと会ったことのある普通の人は、落ち着かない気分になるということだ。トランプはすぐに言葉につまるし、ろれつが回らなくて何を言っているのかわからない。まごつき、すぐにいらだち、情報をまとめて理解することがなかなかできない。たまに、じゃなくて、しょっちゅうだ。そうでないと主張する者は、自分自身や国に嘘をついている」

こうした証拠を総合的に考えると、トランプには新型コロナウイルス感染が重症化する危険がある根本的な基礎疾患がいくつか存在する可能性がある。

ここ数日の情報が正確で、トランプがすでに疲労と呼吸困難の症状を示しているとしたら、イギリスのボリス・ジョンソン首相の場合と同様に、まもなく病状が悪化して執務ができなくなるかもしれない。

私の友人の一人は新型コロナ感染で自宅療養していたときのことを、「象が胸の上に座っているような感じだった」と言っていた。今後数日のうちにトランプの病状はもっと明らかになり、ジョンソンのように人工呼吸器の助けが必要になるかどうか、といったこともわかるだろう。

望めば未承認の薬も手に入る

トランプには最高司令官としての役割があることを考えると、さらに心配なのは、ウイルスの感染が脳に達し、幻覚や重度の頭痛、めまい、判断障害を含む認知機能障害を引き起こす可能性もあるということだ。

新型コロナウイルスに関連する神経症状は、混乱、せん妄、老衰、および永久的な脳損傷など、非常に多い。これら、および他の脳関連症状は、数カ月の間持続する可能性がある。

もし望むなら、トランプは未知だが最先端の医療を受けることができる。

ホワイトハウス によれば、トランプは2日の午後にウォルター・リードで「モノクローナル・カクテル」の投与を受けたという。米製薬大手リジェネロンが治験中の未承認だが、医師団からの特別の要請で使用が認められた。

この先もいくつかの選択肢がある。新型コロナから回復した患者の血漿を輸血する方法(ただし、感染後直ちに始めなければ効果がない)。トランプの高いコレステロール値と、ろれつや歩行時の問題が心臓疾患のせいである可能性を考えると、医師団はトランプの心臓の状態には特に注意する必要がある。最近の知見によれば、新型コロナウイルスは心臓の筋肉細胞を攻撃し、心臓発作や全身に血の塊ができる原因になる。

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