新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する?
専門家からは、この研究結果は新型コロナウイルスが思考力の問題を引き起こすことを証明していないという批判もある。
英エジンバラ大学のジョアンナ・ウォードロー教授(応用神経イメージング)は、研究チームが新型コロナに感染する前の被験者の認知機能に関する情報を把握していなかったことから、研究成果は限定的だと述べた。この研究で明らかになった問題も、短期的な現象かもしれない、と彼女は言う。
英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのデレク・ヒル教授(医学イメージング科学)は、この研究を「興味深いが、結論は出ていない研究」と評した。新型コロナに感染したかどうかを被験者の自主申告にまかせているので、情報の信頼性が疑われる、と彼は言い、コロナウイルス検査を受けて陽性が確定していたのは、元患者の「ごく一部」だけだったことを明かした。
ヒルはまた、たとえば脳のスキャンなどでウイルス感染が脳にどんな生物学的に影響を与えたかを調べていない点を指摘した。「アルツハイマー病の認知機能低下は、MRIスキャンによって特定できる脳の収縮に関連していることはよく知られている」と、ヒルは言う。
英エクセター大学の上級臨床講師デービッド・ストレインは、非感染者と比較して10年ほど老化した一部の新型コロナ感染症患者の脳の状態は、他のウイルスによる感染症から回復した患者の脳の状態よりも「はるかに悪かった」と述べている。
今回の研究では、参加者約8万4000人のうち、ウイルス検査で陽性が確定していたのはわずか361人であったため、研究結果は確定的とはいえない。
ハンプシャーによれば、感染が確認された参加者の数が少ないのは、研究が行われた時点で、ウイルス検査を受けたイギリス人がまだ少なかったからだという。「今も研究の参加者を募集している。新型コロナ感染者が参加したら、認知能力が本当に低下するかどうかを確認するため将来にわたって追跡する」
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