全米各地のコロナウイルス検査に滞り 「高度な自動化」が裏目に
「あるものを使うだけ」
今月、アーカンソー州議会の指導者らはマイク・ペンス副大統領に書簡を送り、同州の病院では処理能力の10%の検査しか実施できていないと警告した。同州で感染症対策を指揮するナビーン・パティル氏によれば、ロシュ、アボット、セファイド、ホロジックからの主要サプライ品が不足しているという。
ロシュはロイターの取材に対し、同社の自動検査機は、誤判定の抑制、検査要員の削減、より迅速な結果判定を可能にしているという。またロシュでは、製造能力の拡大を進めており、検査キットや機器をどこに送るか「強く意識している」と述べている。
アボットも、製造能力の拡大を進めており、必要とされている場所で検査を行えるよう供給を厳密に管理していると話している。
一部の研究所では、複数のベンダーから自動検査機を購入し、いずれかのベンダーのサプライ品が入手可能であれば検査できるようにして、サプライ品の不足に対処している。だがこれは同時に、最大処理能力以下でしか稼働していないことを意味している。AMPの調査では、研究所の57%が少なくとも3社の機器を使って検査を行っていることが分かった。
ワシントン大学のベアド氏は、「ビュッフェに行って、ありとあらゆる料理の中から1つ選んで取ってくるようなものだ」と話す。同氏が指揮する研究所は、ワシントン州での検査の大半を担っている。
だが今月、30以上の州で感染者が急増するなか、一部の研究所では試薬や使い捨てパーツの入手が困難になり、処理が追いつかなくなっている。
今後数カ月のあいだに、これらの自動検査機とは別に、抗体検査や遺伝子配列解読機器によって検査能力が向上する可能性はある。国立衛生研究所(NIH)は、12月までに少なくとも1日600万件の検査能力を確保するよう企業各社と協力を進めている。
一部の研究所では、複数ステップ検査キットのサプライヤーにも目を向けている。
ニュージャージー州のRUCDRインフィニット・バイオロジックスは、複数ステップ検査により1日5万件の検体を処理できる。アリゾナ州のソノラ・クエストは先日、類似の機器を用いて1日最大6万件の検査を行う計画を発表した。
エボラ出血熱の研究で最もよく知られるカナダの研究者ゲーリー・コビンガー氏は、あらゆる診断はオープンなプラットフォームで行われるべきだと主張している。
「いずれ新たな病原体が発見され、その病原体に対応するカートリッジを企業は十分に供給できなくなる」
「今がまさにそのときではないか」
Allison Martell and Ned Parker(翻訳:エァクレーレン)
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