今年の大卒は安定第一? それでもジェネレーションZが秘める大きな可能性

2019年7月25日(木)12時02分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)

映画とイタリア語のダブル専攻でフェアフィールド大学(コネティカット州)を卒業したエリザベス・デーナ(22)は在学中に起業した。彼女の会社「エラ・クリエーティブ」は中小企業向けにソーシャルメディアの管理や写真・動画コンテンツの制作、ブランド構築を支援する。入念な計画の下、この2年で着実に顧客を増やしてきた。

友人の多くは学生ローンを返済するために在来型のフルタイムの仕事を探している。デーナに借金はないが、彼女が起業の道を選んだ理由の1つは、就職よりも長期的な安定が得られると感じたからだ。彼女に言わせれば、就職=安定は「神話」にすぎない。

彼女のおじはかつてコネティカット州のゼネラル・エレクトリック(GE)で働いていたが、同社がニューヨークに移転したため、今では片道1時間以上かけて通勤している。おじの妻は同社をリストラされた後、1年間も仕事が見つからなかった。

「他人のために働く人は、たいてい安心を買ったつもりでいる。9時から5時まで働いて、それがずっと続くと信じている」と、デーナは言う。「でも実際は、いつ解雇されるか分からない。自分の会社で働いていれば、決めるのはいつでも私。仕事がなければ自分で探しに行く。仕事をするもしないも、ある程度は自分で決められる。もちろん仕事は取らなきゃいけない。でも会社にいたって、いつ仕事がなくなってしまうか分からない」

彼女の言うとおりだ。よく先を読んでいるし、現実も見据えている。しかも、前へ進むための計画を持っている。彼女、Z世代のお手本かも。

<2019年7月30日号掲載>


※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。


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