若年層の頭蓋骨にツノ状の隆起ができていた......その理由は?
<オーストラリアの研究者が18歳から86歳までの1200名を対象に調査したところ、33%に外後頭隆起の突出が認められた......>
テキスト・ネック(スマホ首)とは、テキストを打ち込んだり、動画を閲覧したり、ゲームをしたり、前かがみになってスマートフォンなどのモバイル端末を長時間、頻繁に操作し続けることによって引き起こされる首の張りや痛みを指す。
老若男女問わず、スマートフォンが世界的に普及した昨今、子どもや若者にもテキスト・ネックが広がっており、身体の姿勢や成長に影響を及ぼし、頭蓋骨の形すら変えるおそれがあることが明らかになっている。
前かがみの角度が大きいほど、外後頭隆起の突出が起こりやすい
豪サンシャインコースト大学のデビッド・シャハル博士らの研究チームは、18歳から30歳までの若者218名を対象に外側頸部のレントゲン写真を分析し、2016年3月22日、学術雑誌「ジャーナル・オブ・アナトミー」でその成果を発表した。
これによると、被験者のうちの41%に外後頭隆起の突出が認められ、10%は20ミリ以上の外後頭隆起が認められた。外後頭隆起の突出は、女性よりも男性に多く認められ、中には、その大きさが35.7ミリに達するものもあった。なお、ヒトの外後頭隆起は通常5ミリ程度で、10ミリを超えると大きいとされている。
さらに、シャハル博士らの研究チームは、18歳から86歳までの1200名を対象に、年齢や性別、前かがみ姿勢の角度と外後頭隆起の突出との関連についても分析した。科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で2018年に掲載された研究論文によると、被験者のうち33%に外後頭隆起の突出が認められ、男性のほうが外後頭隆起の突出が多く、前かがみ姿勢の角度が大きいほど、外後頭隆起の突出が起こりやすいこともわかった。また、仮説に反して、年齢が高くなるほど、外後頭隆起の突出が起こりにくいことも示されている。
また、シャハル博士は、この10年間に外後頭隆起の突出を発見することが増えたとBBCに語っている。
スマートフォンの利用時間が長くなると......
これらの研究成果では、外後頭隆起の突出を引き起こす原因について明らかにされていないが、2016年1月には韓国の大邱大学の研究チームによって「スマートフォンの利用時間が長くなると、姿勢と呼吸機能の双方に悪影響をもたらす」との研究成果が示されている。
シャハル博士らの研究チームも「スマートフォンやタブレット端末などの過度な使用に伴って異常な姿勢が続くことが、外後頭隆起の突出につながっているのではないか」とみており、とりわけ若年層の筋骨格系の健康を害するおそれを懸念し、姿勢改善のための教育を通じてこれを予防する必要性を訴えている。
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