アマンダ・ノックス、それでも消えない「集団セックス殺人魔」の汚名
<2011年の釈放以来初めて、「あの事件」の舞台であるイタリアを訪ねたアマンダ・ノックスを待っていたのは、容赦ないマスコミと人々の冷たい目だった>
2009年イタリアで、イギリス人留学生メレディス・カーチャー(当時21)が集団セックスを強要された上、惨殺された。容疑者として捕まったのが、カーチャーのルームメイトでアメリカ人のアマンダ・ノックス(当時20)。セックス殺人魔との疑惑の目を向けられた起訴された冷たい美貌のノックスの去就に、世界中がクギ付けになった。
2011年に無罪が確定し、アメリカに帰っていたノックスが6月13日、釈放以来はじめて、イタリアに戻った。だが複数の報道によれば、彼女のイタリア再訪は順調とは言えないようだ。
ノックスがわざわざイタリアを訪れたのは、冤罪の防止に取り組んでいる非営利組織「イノセンス・プロジェクト」が主催する刑事司法に関する会議に出席するためだった。だがノックスを待っていたのは、血に飢えたメディア。イベントの主催者の一人がNBCニュースに語ったところによれば、14日の会議に現れた彼女はメディアのせいで「心に傷を負って」会場を去ったという。
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ノックスは6月に入ってからメディア向けに次のような文章を発表していた。「自分が犯していない殺人の罪に問われ、裁判にかけられていた間、検察側は私をセックス狂いの魔性の女に仕立て上げ、メディアは長年、既に十分センセーショナルでひどく不当なストーリーをさらにセンセーショナルに取り上げることによって利益を得てきた」
CBSニュースによれば、イノセンス・プロジェクト(フロリダ支部)のセス・ミラー事務局長はかつて、ノックスが再びイタリアを訪れることに関する議論の中で、イタリア再訪は「里帰りか、召集か、あるいは狂騒」のいずれかになるだろうと予想していた。
被害者の遺族が反発
2009年に懲役26年の実刑判決を受けた後も、ノックスは一貫して無罪を主張して闘い続けた。イタリアの刑務所に4年間服役した後、2015年に最高裁で無罪が確定した。それでも今回、彼女がイタリアに到着した後、カーチャーの遺族を代表する弁護士は、彼女のイタリア訪問は「不適切」だと非難。さらに「刑事司法に関する専門家討論会に彼女を招くこと自体が誤りだ」と主張した。
31歳になったノックスはこれまでも、自分の汚れたイメージを変えるためにさまざまな活動を行ってきた。2013年には、イタリアの刑事裁判制度の中で体験したことを詳細に記した回顧録『Waiting to be Heard(私の言い分を聞いてもらえる日を待っている)』を出版。ネットフリックスのドキュメンタリー『アマンダ・ノックス』に出演したり、『真の犯罪についての真実』というポッドキャストの番組でホストを務めたり、彼女に対するメディアの仕打ちを検証するシリーズ番組『スカーレットレター・リポート』ではリポーターを務めた。
ノックスは15日の会議に登壇。自分が受けた有罪判決は不当なものだったとして、当時を振り返りながら涙ながらに訴えた。
(翻訳:森美歩)
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