「同意なく僕を産んだ」インドの男性、親を提訴へ
<インドのムンバイに住む男性が、「同意なく僕を産んだ」として両親を提訴する準備を進めている。その意図は......>
「子供を投資みたいに扱わないで」反出生主義の男性
「同意なく僕を産んだ」として、インドの男性(27)が両親を提訴する準備を進めている。インドのムンバイに住むラファエル・サミュエルさんだ。子孫を残すべきではないという「反出生主義」と呼ばれる哲学の擁護者で、自分の同意を取らずに自分を産んだとして両親を提訴する構えだ。
サミュエルさんは、サングラスとつけ髭という出で立ちで動画を作成。インドや世界の人たちに向けて言いたいこととして、「彼らは両親に対して何の借りもない」と話し、「同意なく生まれてきたのなら、生涯、金銭的に面倒を見てもらうべきだ」と主張している。
さらにインドの子供たちに向けて、「自分がやりたくないものを親のためにするのはやめなさい。もしも心の底から本当に自分がしたいと思うことならやりなさい」と語りかけ、子を持つ親たちには、「自分の子供を投資のように扱うべきではない」と訴えている。
「苦しむ人が多すぎる」みんなに考えてもらいたいのが動機
英インディペンデント紙によると、サミュエルさんは提訴する意向を両親にすでに伝えてあるというが、自分の訴訟を引き受けてくれる弁護士がまだ見つかっていないという。また、訴訟は判事に棄却される可能性が高いが、それでも、「地球は人類がいない方がマシ」という信念を主張するために裁判を起こすのには意味があるとサミュエルさんは考えているとのことだ。
ビデオでも、自分の意見に対して「肯定的な反応もたくさんあるが、否定的な反応の方がずっと多い」と話し、「私を罵りたければ罵ればいい。でもその前に、私の言い分をよく考えて理解した上で罵ってほしい」と語りかけ、みんなに考えてもらいたいのだと訴えている。
サミュエルさんの両親はともに弁護士で、親子関係は良好だという。母親のカヴィタ・カルナド・サミュエルさんからのものとして、サミュエルさんはFacebookに文章を投稿。「私たちが弁護士だと分かった上で、両親を提訴しようという息子の向こう見ずさには感心する」とし、「私たちがどうすれば(生まれる前の)息子から同意を得られたのか、息子が合理的な説明をできるようであれば、こちらも誤りを認める」と書かれている。
サミュエルさんは英BBCに対し、「苦しみに耐えながら生きている人が多すぎるし、人類が絶滅した方が地球や動物ももっと幸せになれる。苦しむ人もいなくなる」と思いを語った。
インドの英字日刊紙タイムズ・オブ・インディアによると、サミュエルさんのFacebook投稿に付いているコメントは、サミュエルさんに対し否定的なものが多い。
しかしデリー大学法学部のヴァゲシュワリ・ディスワル博士はサミュエルさんの考えに同意しているようだ。自分の子供を生涯支えるのに必要な資金を持つか、さもなければ自己満足や、家名を継承していくため、老後の面倒を見てもらうため、今いる子の兄弟が必要だから、などの理由で子供を作るべきではない、とディスワル博士は述べているという。
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