失業率とシンクロする自殺率の推移

2019年1月9日(水)16時40分
舞田敏彦(教育社会学者)

過去65年間のデータからラフなやり方で打ち立てた定式化だが、失業率1%の重みが伝わってくる。今世紀初頭の政権のフレーズは「聖域なき構造改革」「痛みを伴う改革」といったものだったが、国民が被る「痛み」は決して小さくない。

好況・人手不足の影響で失業率は低下の傾向にあるが、AIの台頭により人間の雇用が脅かされる事態も考えられる。しかしこういう時代では、無理に働くこともないのではないか。AIは人間の仕事を奪うハゲタカではなく、人間を労働から解放してくれる救世主(メシア)だ。「お金は労働の対価としてもらうもの」「働かざる者食うべからず」といった価値観を払拭し、ベーシック・インカムを導入するという考え方もある。考え方の転換がされなければ、失業率は上昇し(AI失業)、自殺者が激増する恐れも出てくる。

為政者には、生活者としての国民の「痛み」を理解して政治にあたらなければならない。

<資料:総務省『労働力調査』
    厚労省『人口動態統計』

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