韓国にもイスラエルにも──トランプは交渉の達人ではなく「操られる達人」

2018年5月22日(火)17時00分
ダニエル・レビ(米政策研究所アメリカ・中東プロジェクト会長)

さらにイランと違って北朝鮮は既に核兵器を保有し、その事実によって強い影響力を手にしている。核合意が破綻して対立が悪化した場合、イランが下す結論は明らかだろう。アメリカの離脱決定を受けて、イランのハサン・ロウハニ大統領はウラン濃縮活動を再開する用意があると語った。

朝鮮半島で幸運にも生まれた和平の芽を守るには責任あるリーダーシップが必要だが、韓国は日本と中国の協力を得て、その責を果たしている。だが中東では、近視眼的な主戦論が幅を利かす。イスラエルなどを中心とする勢力は自分たちの利益のために、影響されやすい米大統領をイランとの対立へ駆り立てようとしている。

トランプはバラク・オバマ前米大統領を激しく批判するが、オバマと同じ「後方から指導する」方針の体現者だ。今や各国はやり方次第で、アメリカの安全保障政策をどうにでも動かせる。しかし、アメリカは自国なりの地政学的判断を基に動くべきではないか。だまされやすい大統領を、よりうまく操れるのはどこの指導者かという点に国家の命運を賭すよりも......。

From Foreign Policy Magazine

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