イタリア、ポピュリズムと極右の連立協議大詰め 経済公約はEUと衝突必至
イタリアでは、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」の新政権樹立に向けた連立協議が大詰めを迎えつつある。
ただ両党が打ち出した経済政策の公約は欧州連合(EU)の財政ルールと相容れず、履行するのは不可能ではないにしてもかなり難しいだろう。
公約として挙げられたのは、法人税と所得税の減税、福祉予算拡大、売上税の税率引き上げ中止、支給開始年齢の大幅な引き上げを定めた2011年の年金改革の撤回などだ。
3月4日の総選挙でどの政党も過半数を獲得できず、これまで10週間にわたって各政治勢力が連立に向けた駆け引きを続けてきた。選挙前は、五つ星連動と同盟の連携はあり得ない組み合わせで、万が一実現すれば懸念すべき事態だとの声が専門家の間で大勢だったが、両党はこの数日間の協議で、全く違うそれぞれの政策プログラムを、双方が受け入れ可能な「協定」へとまとめ上げた。
もっともその内容は、巨額の財政負担を伴う。つまり財政赤字はEUと合意した水準を大きく上回る恐れがあり、そうなると欧州委員会と新政権が衝突するのは避けられない。
同盟のサルビーニ書記長は12日、五つ星運動のディマイオ党首との協議を経て「われわれはイタリアが窒息しないようにEUと合意事項を再交渉する必要が出てくる」と発言した。
五つ星運動の目玉公約である低所得層向けのベーシックインカムを導入するには、年間約170億ユーロの費用がかかる。法人税と所得税の税率を一律15%にするという同盟の看板政策が実施されれば、税収は年800億ユーロ減少するとみられる。
年金改革撤回の財政コストは150億ユーロ、予定されていた売上税の税率引き上げをやめるにはおよそ125億ユーロが必要だ。両党は、政府が企業からの借り入れを返済するために特別な新通貨を発行することも検討している。
ロンドンを拠点とするシンクタンク、ユーロインテリジェンスを率いるWolfgang Munchau氏は「これらが実行されれば、現代におけるイタリア経済システムにとって最大の変革になる」と述べた。
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