「クルド人国家」に立ちはだかる無数の壁

2017年7月11日(火)18時00分
マイケル・ルービン (アメリカン・エンタープライズ研究所レジデント研究員)

バルザニは自分を建国の父とみなすかもしれないが、期待通りのレガシー(遺産)は残せないかもしれない。昔なら、バルサニには選択肢があった。南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領のようになりたいか、パレスチナ自治政府のヤセル・アラファト初代大統領のようになりたいのか。

マンデラは、アフリカ民族会議(ANC)のリーダーとしてアパルトヘイト(人種隔離政策)と戦い、政治的な対立を超えて新しい南アフリカを築いた。

バルザニは議長の任期満了を迎えても辞職を拒んだが、マンデラは権力を移譲し、政権移行の前例を作った。

逆にアラファトは復讐のために権力を利用し続けた。バルザニと同様、多額の公金を使い込み、パレスチナ人を深く分断させ、パレスチナ自治政府の組織や財政をボロボロにした。

クルド人は住民投票を強行するかもしれず、そうなれば独立派が勝利するだろう。だが身内や蓄財よりクルド人のことを優先する指導者が現れない限り、クルド人は自由獲得の歴史的なチャンスを無駄にすることになる。

(翻訳:河原里香)

This article first appeared on the American Enterprise Institute site.
Michael Rubin is a former Pentagon official whose major research areas are the Middle East, Turkey, Iran and diplomacy.

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