世界遺産に登録勧告の沖ノ島、「女人禁制」の風習は外国人には謎だらけ

2017年5月12日(金)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

実際のところ、沖ノ島が「女人禁制」となった理由は定かでないようだ。島では田心姫神(たごりひめのかみ)という女性の神を祭っており、神が嫉妬するという説もある。文化情報サイトのスミソニアン・ドットコムは「女性の月経が島を穢してしまう」という一説を紹介した。

外国向けに番組も

2015年に世界文化遺産候補として日本からの推薦が決定すると、海外向けに沖ノ島を紹介する番組が放送された。

カルチャーメディア「Blouin Artinfo」は、出土品を紹介。勾玉のほか、ペルシアのカットグラス碗など大陸からもたらされた宝物も多いとされている。古代の祭具発見された宝物は発掘されたのではなく、置かれたものを拾い集める表面採集で集められたものだ。

一方、地元は沖ノ島の世界遺産登録は手放しに喜ぶばかりではない。そもそも自治体が登録を推薦していた8つの構成資産の内、世界遺産への登録が適当とされたのは沖ノ島とその周辺にある4カ所のみ。選定基準が厳しいという声もあった。英BBCは世界遺産として認定されてから増加が予想される観光客の対応に不安を覗かせる声を伝えた。

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一般人の上陸は年に1日だけ

「女人禁制」だけが独り歩きしているが、男性といえども、一般のすべてに入域が許されているわけではない。滞在が許されるのは、島の管理をする宗像大社の神官1人だけで、交代で宿直を務める。たとえ男性だとしても一般には年に一度だけ、日本海海戦の記念日である5月27日、参加を希望する一般男子の中から抽選で選ばれた約200人の男子に上陸が許される。

正式な登録は、今年7月にポーランドで開かれる世界遺産委員会で最終的な審査の後に決まる。

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