仏大統領選でルペンが決選投票へ新戦略 極左と右翼取り込み狙う

2017年4月26日(水)14時39分

メランション氏が投票結果を徹夜で見守ったパリ北部の酒場では、支持者の見方はまちまちだった。

ただ、ハリス・インタラクティブの調査を見ると、ルペン氏支持に回るメランション支持層は少数派のようだ。決選投票でマクロン氏を支持するとしたメランション支持者は約52%に上り、32%は棄権すると回答、ルペン氏を指示すると答えたのはわずか12%に過ぎない。

十分ではない

アナリストは、右派候補のフィヨン氏やナショナリストの二コラ・デュポンエニャン氏を支持した、安全保障問題や欧州国境間の自由な行き来に懸念を持つ右翼主義者の方が、中道的なマクロン氏に対する批判でまとまりルペン氏を支持する可能性が高いかもしれないと分析する。

ハリス・インタラクティブの調査ではフィヨン氏に投票した有権者の47%がマクロン氏を支持する考えを表明する一方、23%はルペン氏を支持する姿勢を示している。

ルペン氏は第1回投票に向けた選挙戦で、持論の移民政策や安全保障、テロの問題をあまり有権者に浸透させることができなかった。ルペン陣営は、これらが決選投票に向けた重要テーマになるとの見方を示す。実際、ルペン氏は24日、「イスラム主義テロリズムの根絶」や「イスラム教徒の外国人」の追放を約束したリーフレットを配布している。

とはいえ、24日の世論調査によると、決選投票におけるマクロン氏支持は60%以上に上るとみられ、テロ問題などを訴えるだけでは「勝つために十分とは思えない」と、ニース大学のFN研究者、ギル・イバルディ氏は指摘する。

トゥール大でFNを専門にするシルバン・クレポン氏は、今回の大統領選でルペン氏はマクロン氏との差を埋められないと予想。ただ、反移民などを主張し続けることは、左翼政党、右翼政党の存在感低下が際立つ現在の政治情勢の再編や、FNの将来にとって重要な意味を持つとし、「FNは(次の大統領選がある)2022年に備えている」と分析した。

(Ingrid Melander記者)

[ロイター]




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