トランプのWTO批判は全くの暴論でもない
2017年3月9日(木)10時30分
■紛争解決のシステムを改善すべき
WTOには加盟各国から、紛争解決が遅いと批判の声があり、WTOもそれを認めている。昨年解決されたEUと中国の間の紛争も、7年の時間がかかった。
迅速な決断を下せなければ、違法な貿易が続くのを許すことになるかもしれない。トランプはWTOに対し、紛争処理への対応法を増やし、決定に期限を設けるよう圧力をかけることができるだろう。
【参考記事】トランプ経済が「レーガノミクスの再来」ではない理由
■デジタル貿易への対処を強化せよ
WTOの規定は、デジタル製品の取引やそれらに関する知的財産の保護に対応し切れていない。加盟各国や実業界は、デジタル貿易を取り締まる規制の設置を望んでいる。
トランプはWTOに対し、アメリカの知的財産を今まで以上に保護し、特許権侵害を罰するために世界経済の「デジタルな未来」を反映すべく規定の刷新を求めることができると、ピーターソン国際経済研究所のチャド・ボウン上級研究員は言う。
だが今のところ、トランプはITよりも重工業に重点を置いている。「鉄鋼業がアメリカ経済に影響を及ぼしたのは20年前のことだ」と、ボウンは言う。「トランプはアメリカ経済の未来を考えなければならない。しかし今までのところ、デジタル貿易に関するWTOの規制の刷新には全く興味を示していないようだ」
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