ショッキングな米4月雇用統計が「期待外れ」でない理由

2021年5月10日(月)18時45分
ジョーダン・ワイスマン(スレート誌記者)

まず、4月にアメリカの労働力人口(就労者数と求職者数の合計)は43万人増加している。これは3月を上回る増加幅だ。

4月に失業率が上昇したのは、家にとどまるのではなく、職探しを始める人が増えたからと考えられる。

もう1つ見過ごせないのは、最も声高に人手不足を訴えてきたレジャー・接客産業で、就労者数が前月より増えたことだ(3月は20万6000人、4月は33万1000人)。一方、食品小売業と宅配業では就労者数が大幅に減っている。

これは、コロナ禍で業務が増大していた業種が平時の状態に戻りつつあることの表れと言えそうだ。

要するに、4月の雇用統計は、労働市場の長期的傾向を反映しているとは言い切れない。州政府や連邦政府は、失業手当の削減を慌てて決めるのではなく、6月初めに5月の雇用統計が明らかになるのを待っても遅くない。

多くの共和党政治家はあと1カ月待つつもりはないだろうが、連邦政府のリーダーたちが慎重な判断を下すことを願いたい。

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