「緊急事態宣言」延長で未曽有の危機に 動き鈍い安倍政権の経済対策

2020年5月1日(金)20時11分

政府内でも議論進行、経済基盤の破壊防止が必要

政府与党も問題は認識している。財務省関係者も、首相発言はあくまで公式答弁だと説明。「2次補正が年末と思っている人はいない」と打ち明ける。西村経済再生担当相も1日には「事態が長引くようなことになれば、当然、さらなる支援策も必要になってくると思う。時機を逸することなく、臨機応変に果断に対応していきたい」と述べている。

政府筋によると、政府内では家賃問題への対応などで、予備費の活用や、必要に応じて随時財政支出を行うなどの議論が進行中だ。ただ、未曾有の事態だけに今後、経済がどこまで落ち込むかわからず、今後の成長見通しの試算や追加財政支出の規模感などは白紙だという。

世界が感染拡大を封じ込めた時に、日本の経済基盤が破壊されずに迅速に回復できるよう、事業者や雇用者を守っていくことが政府の最大の使命でもある。

そのためには、輸出企業など、日本のけん引役となる産業の保護が必要だと指摘するのは、アジア開発銀行の吉野直行所長だ。

すでに感染拡大を封じ込めた中国では、輸出全体のシェアは小さくとも、得意分野のマスク生産や治療薬の輸出を拡大し、経済再開の糸口にしている。吉野氏は、世界がコロナを教訓に5G、6G関連分野への投資を加速するなら、日本も例えば得意の半導体製造装置などの事業のリソースを温存できるよう、支援することも必要だとしている。


中川泉 竹本能文

(編集:石田仁志)

[東京 ロイター]




Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・「中国製の人工呼吸器は欠陥品」イギリスの医師らが政府に直訴状
・韓国そして中国でも「再陽性」増加 新型コロナウイルス、SARSにない未知の特性
・東京都、新型コロナウイルス新規感染46人確認 都内合計4152人に
・新型コロナウイルス感染症で「目が痛む」人が増えている?


※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ