財務省はスタバの危機管理に学べ!

2018年4月26日(木)18時10分
冷泉彰彦

「事件の背景にあるのは『本人が意識していない差別意識(unconscious bias)』である」

「この『本人が意識していない差別意識』に関する従業員の理解を改めるため、5月29日の午後、全米にある8000店のスターバックスは全店が一斉閉店をして従業員への教育を行う」

というのが、そのメッセージです。この謝罪に続いて、フィラデルフィア市警も、「通報に従って安易に逮捕した」ことを謝罪しました。

一部の専門家からは「半日では足りない」とか「一回ではダメでフォローアップが必要」という指摘もあるのですが、ジョンソンCEOの迅速な対応もあって「スタバ=先進的なカルチャー」というブランド価値は守られた形になっています。

何よりも、今回の事件では、人種差別反対派や専門家ではなく、著名な企業のトップが「本人が意識していない差別意識」が元凶だということを認め、この問題の教育のために「半日一斉閉店」という措置を決断したということは評価してもいいと思います。

特に、この「本人が意識していない差別意識」というのが重要です。差別の問題には、常にこの問題がつきまとうからです。例えば、いま日本で話題になっている前財務次官のセクハラ問題、そしてこの問題をめぐる大臣や官房長の発言がさらに批判を浴びている問題でも、まさに女性に対する「本人が意識していない差別意識」が深いところで組織に蔓延していると思います。

スターバックスの場合は半日閉店ですが、財務省の場合は半日ではおさまらないように思います。ただし、そもそも財務省の場合は、トップである大臣、前次官、官房長の3人が「教育の対象」(次官は退任)であるばかりか、この「本人が意識していない差別意識」を認めてもいないわけで、そう考えると何ともやりきれない思いがします。

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