Black Lives Matter、日本人が知らないデモ拡大の4つの要因

2020年6月9日(火)17時30分
パックン(パトリック・ハーラン)

ジェームズ・マティス前国防長官はアトランティック誌への寄稿で、トランプは「国民を団結させようとしない。そんなふりさえしない。むしろ私たちを分断させようとしている」と抗議をつづった。トランプは前回の大統領選で国民を分断させて当選した。今回も一部の国民だけの支持を固め、再選につなげようとしているように見える。もし、投票日までにこの炎が鎮火したとしても、当選した日にはまた発火する気がするけど。

アメリカの街はいま燃え続けている。社会、経済、医療分野で普段から不平等な立場に置かれた上、コロナ危機で不公平な大打撃を受ける。小さなウイルスから大きな軍隊までさまざまな脅威にさらされ、日頃から警察に殺されても、政府は味方にならない。そう感じる黒人が爆発したくなる気持ちは分かる。それに共鳴する他の人種の大勢の仲間の気持ちも。理由もなく燃えているわけではない。もちろん過去には、暴動が警察の監査強化、司法制度改正などにつながったこともあるが、それでも放火、略奪、暴力などは許されるものではない。それははっきり言っておこう。

でも、暴動に目を奪われてはいけない。大事なのはこの大炎上を起こした制度、機関や社会自体を変えること。そして、火に油を注ぐ大統領を代えることだ。

<2020年6月16日号掲載>

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