日本が新型肺炎に強かった理由
<新型コロナウイルスがヨーロッパにまで拡大した今、振り返ってみると、被害を最小限で食い止めたのは日本だった。何がよかったのか>
日本政府のこれまでの新型肺炎対応に関しては、ダイヤモンド・プリンセス号の頃は、世界中の批判が殺到したが、現在、世界を見渡してみると、新型肺炎の潜在的なリスクに対して、被害を最小限で食い止めているのは、日本だといえる。
これが政府の対応の成果なのか、国民性を含む社会の力なのか、要因分析は客観的にはできないが、一つだけ感想を述べたい。
やはり、日本の全体的な医療の水準が高いということがあるのではないか。そして、貧富の差の影響が、受けられる医療の質に対して影響する度合いが、相対的には世界的に非常に低いことが大きいのではないか(かつての社会主義国は除く。かつての社会主義国の唯一よいところは、経済水準に比して教育と医療の平均的な水準が西側諸国に比べて高いということだった)。
恵まれた公的医療保険制度
日本で貧困が進んでいるといわれているが、それは相対的な貧困率というデータの罠で、超富裕層が少なく、中間層の上の方が厚く、極貧層は少ないが、低所得者層がそれなりに厚いということによるものだ。したがって、貧困と言ったときの実際の生活水準が、極貧に近い諸外国の貧困層に比べてかなりましなのである。これが疫病の広がりを防ぐ背景の一つであるとおもわれる。
そして何より、公的な医療保険制度が、様々な問題があるとはいえ、世界的には非常に受診者にとっては恵まれていることが最大の要因だ。とりわけ所得の低い層(公的保険料を払っていれば)においては、世界的には非常に恵まれているからだ。北欧などの小国かつほとんどの国民が豊かであるような国と比べて劣っているところをあげつらうのは間違いで、もう一度、日本の公的医療制度の良い点を見直すべきである。最大の問題は財政的な持続性であるが、これは別の機会に議論しよう。
公的医療の問題について現れているのは、違法あるいはグレーゾーンの移民と社会の関係である。欧州では、21世紀、常にこの問題に悩まされているが、今回の意外な欧州での新型肺炎危機に対する恐怖感、不安感は、これが大きいのではないか。
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