IR汚職、500ドットコムとは何者か?

2020年1月5日(日)19時50分
丸川知雄

500ドットコムはサッカーくじを販売していたころは借金をほとんどしない経営であったため、資産の蓄えがかなりあったが、2015年から続く赤字によって純資産をどんどん食いつぶしており、このままいくと2021年には債務超過になって経営が破綻する。

さて、以上のような500ドットコムの経営状況を踏まえて、今回の贈収賄事件について考えてみる。

500ドットコムが秋元議員に300万円を渡したとされるのは2017年9月であるが、それはTMGを買収したわずか2カ月後である。つまりカジノ事業の経験がほとんどないにもかかわらず、いきなり日本でのカジノ運営を手掛けようとしたわけである。TMG買収を機にカジノを本業に据えることに決め、焦って事業を拡大しようとするなかで起きたのが今回の贈収賄ということなのだろう。

怪しげな業者に操られる政治家

TMGがやっているインターネット上のカジノと、統合型リゾートの中に設置されるカジノとは、運営のノウハウもまるっきり違ったものだろうと思われる。しかも、500ドットコムの財務状況は大赤字である。

つまり、統合型リゾートのカジノの運営を任せる業者を選定する際、500ドットコムはまず間違いなく書類選考で落とされそうな会社なのである。

そんな会社が贈賄によって日本のカジノを運営していたかもしれないと思うと、統合型リゾート事業全体がきわめてうさん臭く思われてくる。統合型リゾートを推進している地方自治体は日本中にざっと20以上あるが、政治家たちが変な業者に操られていないかどうか注視する必要がある。

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