G7の英コーンウォールで2450%増の感染爆発 人流増でデルタ株拡大 東京五輪は本当に安全か
こうした時に関係者が責任逃れに走るのは世の常だ。
「G7がデルタ株のスプレッダーイベントになった」という批判に対し、コーンウォールの地方議会は「コロナの感染拡大とG7サミットの開催が関係しているという証拠はない。コーンウォール西部ペンリンにある大学のキャンパスから感染は始まった」と説明している。しかし新規感染者マップを時系列で見るとG7との関連性を雄弁に物語っている。
コーンウォールにある介護施設では複数の感染者が出たものの、入居者の100%、スタッフの94%がワクチンの2回接種を終えていたため、いずれも無症状だった。やはりワクチンの2回接種が文字通り、生死を分けたと言えそうだ。
東京五輪の観客数は最大1万人
日本メディアによると、東京五輪・パラの大会組織委員会、東京都、政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者は21日、五輪会場の観客数上限を定員の50%以内で最大1万人とすることを決めた。五輪開会式の入場者も2万人より少なくなる。
プロ野球など大規模イベントの制限に準じた決定だ。緊急事態宣言などが出された場合、無観客も含めて対応する。これで448万枚販売したチケットは272万枚に減り、900億円のチケット収入は半分以下になる見通しだ。パブリックビューイングの会場も中止や規模縮小を検討する。
選手は五輪・パラで約1万5千人。選手団のスタッフやIOC関係者、メディアが7万9千人前後とみられる。選手村は最大1万8千人が滞在できる。インドなどの選手については出国前の検査や入国後の移動・接触制限を厳格化する方針だ。
感染への懸念から大会ボランティア約8万人のうち約1万人が辞退。ワクチンについては日本選手団のほか、選手と頻繁に接触するボランティア、契約業者、組織委職員、取材許可証を取得した国内の報道関係者、日本在住の海外メディアら国内の大会関係者向けに約4万人(8万回)分が確保されている。
UEFA欧州選手権(ユーロ2020、コロナ危機で1年延期)がグラスゴーやロンドンなど欧州10カ国11都市で分散開催されている。0-0で引き分けた6月18日のイングランド対スコットランド戦ではスコットランドから大挙してサポーターがロンドンに押しかけ、試合後も夜通し大騒ぎした。
ユーロ2020は間違いなくデルタ株のスプレッダーイベントになるだろう。しかしワクチン接種が進む欧州はいつまでも穴の中に閉じこもっているつもりはないようだ。入場者の制限は開催国や地域に任されており、日本より接種が進んでいるのに東京五輪・パラより制限を厳しくている国もある。
東京五輪・パラを開催すれば人の移動・接触の増加は避けられず、感染拡大は必至。デルタ株にも「ファクターX」が通じるかどうかは、もはや神頼みというほかない。とにかく高齢者や介護施設の入所者・職員、基礎疾患のある人などハイリスクグループを最優先にワクチン2回接種で入院・重症化予防を急ぐしかない。これはまさに命懸けのミッションだ。