日本における外国人労働者受け入れの現状と今後の課題

2020年1月9日(木)11時55分
金 明中

4番目は制度をよりシンプルにし、企業の負担を最小化する支援を行うべきである。企業が外国人労働者のために日本語教育を企業負担で実施、常勤で通訳スタップを配置、安価な寮費で住まいを提供するなど経済的なサポートを実施している例がある。このようなサポートについて、企業のみに負担させるのではなく、公的支援の導入も考えていくべきであろう。

法務省は今年(※2019年)の8月2日に、改正出入国管理・難民認定法を施行してから4カ月となる7月末現在、特定技能1号の在留資格が認められ、日本で働いている外国人労働者が44人であると発表した。このままでは政府が計画している受入れ目標(2019年度に48,000人、今後5年間で最大34万人)を達成することは厳しいかも知らない。法務省は認定者が少ない理由として「申請は増えているが書類の不備などが多く認定まで時間がかかっている」と説明している。新制度により外国人労働者を雇用する企業の経済的負担を減らすと共に、手続きをより簡単にするために制度を再点検する必要がある。

今後は以上のような問題点を解決するための努力を続けると共に、特定技能の代わりに、海外で導入・実施している労働許可制や雇用許可制2の導入も考えることが望ましい。そうなると、今後、より多くの外国人労働者が日本で活躍することができると考えられる。

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2 労働許可制は、事業場の移動を保障し、同一労働同一賃金の実施を重視しており、ドイツやシンガポールなどが導入している。一方、雇用許可制は、国内で労働者を雇用できない企業が政府から雇用許可書の発給を得て、合法的に外国人労働者を雇用する制度であり、韓国が導入している。

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