叫ばれ始めた「中国台頭の終焉」。ポスト中国の世界を(一足先に)読むと......

2021年10月27日(水)14時00分
河東哲夫

ロシアは、アメリカと戦うための準同盟国=中国を失うばかりでなく、不安定化した大国を隣国に抱えることになる。ロシア極東やシベリアでは「食えない」ため中国難民が押し寄せることはないだろうが、ロシア極東は1860年まで清朝に服していた地域だ。中国で返還要求を掲げる者が現れるかもしれない。世界でのロシアの立場は総じて今よりも弱いものになるだろう。

「一帯一路」の沿線諸国では、「カネの切れ目が縁の切れ目」。これまでの中国旋風は嘘のように静まるはずだ。日米同盟もその性格を変える。朝鮮半島や台湾など、西太平洋全体の平和と安定の保証人としての意味を増していくだろう。

中国が沈んだからと言ってアメリカとの同盟を捨てるのは短慮だ。たとえ中国が沈んでも、日本は舞い上がらず、戦前のように中国の弱さに付け込むことなく、自国の安全と尊厳と生活だけはしっかりと守っていきたい。

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