焦点:コロナ「再感染」実は偽陽性の公算、韓国研究で明らかに
[ソウル 7日 ロイター] - 韓国の保健当局は今年4月、新型コロナウイルス感染症から回復した患者がその後の検査で再び陽性と判定された事例を多数報告し、新型コロナを巡って「再感染」という新たな懸念が浮上した。再感染が起こり得るなら、隔離措置やワクチン開発などに厄介な問題が生じる。
しかし、その後の研究で、再陽性の判定が出たのは、感染力がなさそうなウイルスの微細な断片が患者の体内に残っていたためであり、実際には「偽陽性」だと見られることが分かってきた。
韓国疾病予防管理局(KCDC)によると、こうした事例は6日までに350件余りが報告されている。
<何が起きたのか>
韓国では新型コロナの治療を終えた患者が増えるにつれて、気がかりな動向が見つかった。治癒したと見える患者の一部が、その後の検査で再び陽性と判定されたのだ。
当局は再感染やウイルスの再活性化など、いくつかの仮説について検証。政府の専門家委員会は前週、再検査の結果は「偽陽性」との説が最も有力だと結論づけた。
韓国は新型コロナウイルス検査に、ウイルスの遺伝物質を検出する「RT-PCR」法を採用している。RT-PCR法は素早い判定が可能で、新型コロナに感染したかどうかを判定する精度が最も高いと考えられている。
しかし、中央大学のワクチン開発専門家の Seol Dai-wu氏によると、RT-PCR法は一部の事例でウイルスの古い断片を検出している可能性がある。こうした断片は患者にとっても他の人にとっても、もはや重大な危険はなさそうだという。
Seol氏は「RT-PCR法の検査機器は、感染力を持つウイルス片と、感染力を持たないウイルス片を区別することができない。ウイルスの断片があるかどうかを判定するだけだ」と述べた。
KCDCによると、回復後の検査で再び陽性となった事例の背後に、こうした「偽陽性」が隠れている公算が大きいという。
KCDCの鄭銀敬局長は6日、ウイルス片が死んだウイルス細胞の一部であるとの仮説を裏付ける証拠集めが続いていると述べた。
患者は新たな呼吸器症状を発症したか、当局から再検査の対象に選ばれた場合に再検査を受けていた。
KCDCによると、4月半ばまでに再検査を受けた回復患者の半分弱が症候のある人だったが、こうした症状は新型コロナウイルスが引き起こしたものではなさそうだという。
<まだ感染力があるのか>
いったん回復した後の検査で、陽性と判定された患者が感染を広げることはなさそうだ。
鄭局長によると、KCDCの調査では回復後の再検査で陽性と判定された患者から感染が起きた事例は1件も見つかっていない。
KCDCは、回復後に症状を再発したように見える患者についてウイルスを培養する検査を実施しており、この作業では信頼に足る結果が判明するまでに2週間余りを要する。
6日までに培養試験を完了した29例すべてで、判定は陰性に戻った。少なくとも79例でまだ培養試験が続いている。
鄭局長は「再発事例のウイルスには、ほとんど、あるいは全く感染力がない」と述べた。
こうした事例を調べる専門家チームのリーダー、ソウル大学病院のOh Myoung-don医師によると、新型コロナウイルスはB型肝炎やエイズウイルス(HIV)と異なり、宿主細胞の核には侵入しない。このため慢性的な感染を引き起こすことはなく、再活性化の可能性は非常に低いという。
当局は新型コロナウイルスの抗体ができたかどうかについても検査を進めており、患者に接触した人々について検査や観察を行っている。
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