英EU離脱でイングランド北部に最大の打撃=残留派

2016年6月16日(木)18時57分

[ロンドン 16日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)への「残留」支持派は16日、来週の国民投票によってEU離脱が決まった場合、最も打撃を受けるのはイングランド北部だとの見方を示す見通し。野党・労働党の支持者を味方に引き入れることが「残留」を勝ち取るカギになるとみられるためだ。

最新の世論調査によると「離脱」支持派の勢いが増している。メディアは与党・保守党内の分裂ばかり取り上げるが、残留派はあまり注目されていない労働党支持者への働きかけを重視し始めた。

イングランド北部は伝統的に労働党の地盤だが、労働者階級は石炭・鉄鋼産業の低迷に苦しみ、最近は反EUの英国独立党(UKIP)が支持を伸ばしている。

残留派が示した調査結果によると、雇用の10%にあたる70万人以上がEU向け輸出に携わっており、労働党のブラウン元首相はEUからの資金が地域の再生に役立つとの考えを表明する。

北部に住む多くの人々が産業崩壊の責任は保守党のサッチャー元首相(在任期間1979─90年)にあると考えている。

ブラウン元首相は「保守党が1980年代にわが国の工業の中心地を荒れ地に変えた。地域社会をさらなる荒廃から守ったのは、欧州の構造基金などの資金だった」とマンチェスターで行う演説で述べる予定。

仮にEUを離脱し、輸出に高い関税がかけられると、自動車製造などの主要産業の雇用も危険にさらされる。ブラウン氏は自動車産業や航空産業、製薬産業、食品・飲料産業で働く人々に対し、欧州向け輸出が生み出す雇用の重要性や、離脱でそれを失う危険について仲間に伝えるよう呼びかけるつもりだ。

イングランド北部はEUから2014─20年にインフラや高等教育機関、農業、中小企業を支援する21億ポンド(30億ドル)の資金を割り当てられることになっている。残留派はEUを離脱すればそれを失うと主張する予定だ。

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