世界貿易の鈍化、景気後退の兆しではない=カナダ中銀総裁

2016年4月27日(水)01時43分

[26日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のポロズ総裁は26日、世界貿易の伸びはこれまで以上にゆっくりとしたペースになるだろうとの見方を示した上で、景気後退が迫っている兆しと受け止めるべきではないと述べた。

金融危機以降の先進国の貿易の伸び鈍化の約半分は、経済活動の弱さ、特に企業投資の低迷によって説明できるとした。

政策当局者は、1990年代から2000年代にかけての貿易の急速な成長をグローバル化の結果と決め付けるのではなく、例外だったかもしれないと考えてみることが必要だとも述べた。

総裁は、ニューヨークでの講演のために用意した原稿で「われわれが目にしてきた貿易の弱さは、景気後退が迫っていることを示す警告ではない」と主張。「むしろ私は貿易が世界経済の中で新たな均衡水準に達したことを示しているとみており、われわれは、それを推し進めることができるとみている」と付け加えた。中国経済が貿易主導型からの転換に伴って鈍化していることも、世界貿易の見通しの重しとなっていると述べた。

企業投資が勢いを増すにつれて、世界経済は自律的な成長軌道に戻り、貿易も上向くだろうとの見方を示した。

総裁は自身が注視する起業件数の伸びが米国で加速していると指摘。米経済は力強い生産性の向上期に再び入ったことを示唆するとした。カナダ経済も1次産品安の調整が終われば、米国に続くとの見通しを示した。

カナダは主要な輸出産品である原油の値下がりの影響を和らげるために昨年2度にわたって利下げした。今年は今のところ金利を据え置いている。来月の会合でも政策金利を0.50%に据え置くとみられている。

総裁はまた、金融政策に効果がなくなったとする一部の主張に反論。依然として金融危機後のマイナスの影響が残っているのだと述べた。

政策金利をいきなり3─4%に戻せば景気後退に陥ってしまうということに、ほとんどの人が同意していると述べ「別の言い方をすれば、金融危機から何年も経った今でも、その逆風がわれわれの経済の重しとなっているということだ。低金利は逆風を食い止めているのだ」と主張した。

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