日本の潜水艦がフィリピン寄港へ、ベトナムにも護衛艦=関係者

2016年3月7日(月)10時06分

[東京 7日 ロイター] - 海上自衛隊が今年4月、フィリピンのスービック湾に潜水艦と護衛艦の寄港を計画していることが分かった。防衛省関係者が明らかにした。護衛艦はベトナムのカムラン湾にも立ち寄る。米国が「航行の自由作戦」で中国けん制に動く中、日本は周辺諸国への寄港などを通じて南シナ海への関与を強める。

関係者によると、3月中旬以降に日本を出港し、4月にスービック湾に入港する方向で調整している。練習用の潜水艦を使用し、訓練航海という位置づけだが、中国が南シナ海への進出を一段と強める中、「日本なりのメッセージになる」と同関係者は話す。海自の潜水艦がフィリピンの港に立ち寄るのは15年ぶり。

潜水艦に同行する護衛艦2隻はその後、ベトナムのカムラン港にも寄港する。同湾は中国がベトナムなどと領有権を争う海域に近く、ベトナムは抑止力として外国艦艇を受け入れる新たな港湾を建設中。日本とベトナムは昨年11月、海自艦が新港湾に立ち寄ることで合意していた。

中国が南シナ海で造成した人工島に対し、米国は12カイリの内側に艦艇を派遣する「航行の自由作戦」をこれまでに2度実施した。自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は今月1日に都内で行った講演で、自衛隊が同作戦に参加する計画はないとあらためて説明。一方で、「日本も南シナ海でプレゼンス(存在)を示す必要がある」と強調した。

フィリピンやベトナムなど南シナ海周辺国への寄港や、共同訓練を通じて「われわれなりの関与のやり方をしている」と述べた。

日本は今春に中谷元防衛相がフィリピンを訪問し、海自の航空機「TC-90」の供与でフィリピンと合意することも検討している。海自は同機を訓練用に使用しているが、フィリピンは海上監視に使う。

(久保信博 編集:田巻一彦)

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