「欧州の病人」フィンランド、財政緊縮めぐり政権に亀裂

2015年11月12日(木)13時44分

[ヘルシンキ 11日 ロイター] - フィンランドは現在、3年に及ぶ景気後退と高失業率に苦しむ中で、公的債務の削減も迫られている。財政緊縮策をめぐって連立政権に亀裂が走り、大規模ストも発生するなど厳しい情勢だ。

失業率は10%に迫る勢いで、国内総生産(GDP)に対する公的債務比率は、欧州連合(EU)が上限と定める60%を既に超えている。

さらには人口が急速に高齢化しているため、エコノミストらはフィンランドの見通しは暗いと見ている。「トリプルA」の格付けも失った。

5月に就任したシピラ首相は、これでは次のギリシャになると訴え、2030年までに毎年の歳出を100億ユーロ(108億ドル)削減することを提案している。

首相は祝日と賃金の削減を進めようとしたが、大規模なストや抗議行動に直面した。また、大型の医療制度改革案をめぐって3党連立政権の亀裂が露わになり、政権は先週、崩壊の瀬戸際に追いやられた。

改革派のスタブ財務相はしびれを切らし、9月には「基本的に、わが国は欧州の病人だ」とまで発言した。

債務が増えているため、財政支出拡大による景気刺激という選択肢は議題に上らない。

多くの国民は、輸出競争力を高めるために通貨を何度も切り下げることができた1990年代以前を懐かしんでいる。

世論調査によると、今でも過半数の国民がユーロを支持している。しかし、シピラ首相率いる中央党の古参議員である欧州議会議員が先週、ユーロ残留の是非を問う国民投票の実施を要求し、不満の高まりをうかがわせた。4万9000人超の署名が集まったため、次期国会で議論されることになりそうだ。

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