新興国への資金流入、1988年以来初めてマイナスに=国際金融協会

2015年10月2日(金)00時13分

[ロンドン 1日 ロイター] - 国際金融協会(IIF)は、新興国への資金流入が今年、1988年以来初めてマイナスに転じる見込みとする報告書を公表した。海外からの投資が昨年からおよそ半減するほか、住民が資金を国外に移す動きも加速しているという。

2015年の海外からの新興国向け投資は、昨年の1兆0740億ドルから5480億ドルに急減する見通し。これは途上国の国内総生産(GDP)の2%程度で、2007年のピーク時の約8%を大きく下回る。

IIFは投資額の落ち込みについて「新興国経済の持続的な減速、とりわけ中国経済をめぐる不透明感や米利上げの影響への警戒が原因」と指摘した。

また新興国の住民による国外への資金流出額は今年1兆0890億ドルに達する見通しで、外貨準備や為替レート、資産価格への下押し圧力を強めている。

IIFはその結果、新興国の資金フローは今年、5400億ドルの純流出になると予想。2016年も流出額は3060億ドル程度にしか縮小しないとみている。

資金流出の加速は、とりわけ中国による事実上の人民元切り下げ以降、新興国通貨に大きな影響を与えている。IIFはブラジル、ウクライナ、コロンビアなど複数の通貨の下落率は、対外危機を特定する基準となる25%の水準を超えていると指摘した。

通貨安により、2008─09年の金融危機後の低金利政策で外貨建ての借り入れを膨らませた新興国企業への懸念も高まっている。

IIFのエグゼクティブディレクター、ハング・トラン氏は、新興国の企業(金融セクターを除く)が抱える債務は27兆ドルと、過去5年でGDPの30%相当も拡大したとし、「驚異的」な伸びと述べた。

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