英国のEU離脱、金融界に悲惨な結果もたらす=業界団体

2015年6月30日(火)10時45分

[ロンドン 30日 ロイター] - 英国金融界を代表するロビー団体「ザ・シティUK」のゲリー・グリムストーン会長はロイターに対し、英国の欧州連合(EU)からの離脱は同国の金融界に悲惨な結果をもたらし、企業の英国離れを助長する可能性があるとの考えを示した。

会長はまた、英国政府はEU離脱の是非を問う国民投票を2017年まで待たずに来年実施すべきと提案。そうすれば、緊急時対策を策定した企業ができるだけ早期に投資判断を下すことができるとした。

会長は「EU離脱の是非を問う国民投票をあす実施した場合、英国金融界では全会一致で否決されるだろう」と述べた。

英国のキャメロン首相は、EUと加盟条件の再交渉をしたうえで、2017年末までに国民投票を実施する計画を表明している。

英資産運用会社スタンダード・ライフ・インベストメンツの会長も務めるグリムストーン氏は「企業は入手可能な代替拠点を確保する両面作戦を取り始めている。英国がEUを離脱した場合の行動計画を策定し、英国からの撤退を可能にするパラレルな事業構造を構築している」と述べた。

同氏は、国民投票の実施により、EU改革はさらに緊急性を帯びることになると指摘。「人々は改革の実施と単一市場の改善を望んでいる。議論にはうんざりしており、結果を求めている」と語った。

また、EUのルール策定に関する英国の拒否権などの抜本的な改革は現実的ではなく、むしろ穏当な改革の積み重ねが有益であり、企業の事業継続を可能にするとの見方を示した。

穏当な改革の例として欧州が1958年のローマ条約発効以来目指している単一市場の完成を挙げ、これにより、英国経済は約1100億ポンド(1730億ドル)の利益を得る可能性があると指摘した。

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