米SEC、「経営再建の女王」を投資詐欺で訴追
[ワシントン 30日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)は30日、ニューヨークの投資家リン・ティルトン氏と彼女が率いる投資顧問会社が、3種類のローン担保証券(CLO)の冴えない資産パフォーマンスを隠ぺいして投資家を欺いたとして訴追した。
ティルトン氏とパトリアーク・パートナーズは約2億ドルの手数料収入を得ながら、ファンドの資産価値を適正に評価せずに投資家に説明した疑いが持たれている。
ティルトン氏は派手な装いと色彩に富んだ語り口で知られ、男性が支配する分野に積極果敢に挑む女性企業幹部を演じてきた。ティルトン氏はモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスでバンカーを務めた経験があり、経営破たんした企業などの資産を好んで購入することから、自ら「経営再建の女王」と称していた。
パトリアークの広報担当者は、ティルトン氏がSECの申し立てに対し、SECの行政審判手続きで争う方針であることを明らかにした。
行政審判では法執行局の弁護士と被告側の弁護人がSECの審判官に対し互いに主張を展開する。主張が認められない場合はまずSECの5人の委員に不服申し立てを行い、最終的には連邦控訴裁に提訴することができる。
SECによるとパトリアークは投資家から25億ドルの資金を集め、経営不振企業への融資に充てたが、融資先企業の業績は改善せず、数年間にわたって一部または全ての利払いを行わなかった。
その上でパトリアークは運用成績の悪さを隠ぺいし、報酬を2億ドル近く水増ししたとしている。
SECは同社による虚偽の財務報告書の提出についても訴追した。
SECのアンドリュー・セレズニー法執行部長は「ティルトンは顧客に対する受託者責任に違反した」と記者団に語った。
公式記録によれば、2014年2月28日時点でパトリアークの運用資産は約53億ドルだった。
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