オリンパス、内視鏡の洗浄具を緊急配布へ 米耐性菌汚染問題で

2015年3月27日(金)09時04分

[ニューヨーク 26日 ロイター] - 抗生物質が効かない薬剤耐性菌の感染が内視鏡を通じて広がったとされる問題で、製造したオリンパスは26日、医療関係者に新たな洗浄方法を通知し、「できるだけ早急に」対応するよう要請した。

オリンパスは13ページに上る通知文書で、感染者が死亡する恐れのある薬剤耐性菌の処置に、小さな毛ブラシを「5月8日までに」配布すると説明した。

オリンパスは、問題となっている十二指腸内視鏡をブラシが届くまでの間使っていても安全なのか、使用を延期すべきなのかは直接的に触れていない。

米食品医薬品局(FDA)は、ブラシが届くまで十二指腸内視鏡の使用を推奨していない。これまでは、患者に医師と効果とリスクについて話し合うことを勧めている。

十二指腸内視鏡は自由に曲がり、ライトが付いたチューブで、患者の喉を通す内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)と呼ばれる医療行為で使われる。通常は、がん性腫瘍や胆石などで詰まった膵臓(すいぞう)や胆管の体液を体外に排出する際に用いられ、米国では年間50万件超行われている。

内視鏡は再利用が可能なため、病原菌が患者にうつる事態を避ける目的で完全に洗浄することになっている。

カリフォルニア州ロサンゼルスのロナルド・レーガンUCLA医療センターでは、昨年10月から今年1月までに7人が薬剤耐性菌に感染、このうち2人が死亡した。菌は消毒が不十分だったオリンパスの十二指腸内視鏡を介してうつったことが判明している。FDAは、オリンパスの指示に沿っても内視鏡が感染が広がると特定している。

当局は、十二指腸内視鏡の「エレベーター」と呼ばれる可動部は「極めて届きにくい」として、設計上の問題を指摘している。

オリンパスは通知文書で、内視鏡の洗浄に際しては殺菌剤に浸した上で、エレベーター機構を3回上下させるよう推奨。さらに、エレベーター周辺部を、これまで医療機関が使っているブラシに加え、今回、同社が5月8日までに配布する新たなブラシを併用し、洗浄する必要があると説明している。

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