石油輸出諸国、原油急落でも米国債投資意欲衰えず

2015年3月18日(水)09時45分

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 石油輸出諸国の収入は原油価格急落で目減りしたかもしれないが、それが米国債に対する投資意欲の衰えにはつながっていない。

米国債や社債、株式といった国際金融資産は、過去10年にわたる原油価格上昇の恩恵を受けてきた。産油国が石油売却で得た資金をこうした市場に投じてきたからだ。

しかし現在、ドルが主要通貨バスケットに対して約12年ぶりの高値で推移する中で、石油輸出国機構(OPEC)やその他の産油国はドル高に伴う利益で石油売却収入の減少をヘッジしつつある。

このためサウジアラビアをはじめとする主要産油国は、米国債保有を膨らませている。米財務省のデータによると、石油輸出諸国の米国債保有高は1月の合計が2908億ドルで、12月の2859億ドルから増加し、過去最高に達した。

ドイツ銀行(ニューヨーク)の通貨戦略グローバル責任者、アラン・ラスキン氏は「石油輸出国にとっては、原油安のヘッジの一環としてドルロングの持ち高を利用するというのは資産運用面から大きな妥当性がある。まして自国のドルペッグを守るためにドル準備が必要なことは言うまでもない」と述べた。

石油輸出諸国の米国債保有増加ペースは、昨年6月以降が12%と原油価格がまだ1バレル=100ドルを上回っていた昨年1─6月の10%からやや加速した。

JPモルガンのグローバル資産配分グループのグローバル市場ストラテジスト、ニコラオス・パニギルツォグロウ氏は「これら石油輸出諸国は守りの姿勢が強まりつつある。恐らくは外貨準備を減らさなければならない事態を見据えて、株式保有を縮小して米国債などより流動性の高い資産に資金を移動させているのだろう」とみている。

同氏によると、原油価格が下がれば、石油輸出諸国は輸入品の支払い維持のための自国通貨安定化に向けて、外貨準備を使うことになるという。

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